震災後、東京の金融市場はどう動く?

景気悪化の下、買い場を探す展開に

3月期決算の発表が相次ぐなか、震災の影響で業績見通しを出さない企業が増えている。大半は、電力供給の制約やサプライチェーン(部品供給網)の断絶によるボトルネックなどの厳しい問題を抱えている。当面の株価の焦点は、@このような実体悪をどの程度織り込んでいるのか、Aどう反応するのかの2点となる。

 

東京外国為替市場のimage

 

TOPIX(東証株価指数)を見ると、すでに下値は限定的だ。むしろ、5月を転機に徐々に水準を切り上げていく可能性が高く、3月15日の終値、766回が安値であったことを確認する相場になるだろう。現在、企業収益の一番の圧迫材料は、日本国内での供給体制だが、一言で言えば、回復時期の問題だけである。世界経済の堅調さや国内の復興投資を考えると、企業収益はV字型の回復を描く公算が大きい。業績見通しが下方修正一辺倒になっても、悲観ではなく、その時期をV字の底として、むしろ買
い好機になる可能性が高い。

 

今後、日本株が上昇相場に復帰するには、@原発事故問題、A電力供給不足、Bサプライチェーンのボトルネックの解消・回復レレが条件となる。Aに関しては、巫只電力は今夏の電力需給見通しを「大幅な電力供給不足」から「ほぼ需給が見合う」程度まで改善できている。火力発電の増強、夜間に下流から上流のダム湖に水を汲み上げて昼間に発電する「揚水発電」の活用、素材メーカーなどによる自家発電設備の稼働率上昇などで、計画停電や生産制約のリスクが大幅に軽減するとみられるためだ。

 

被災地域の物流網も急回復しており、企業は早期の復旧のために必死で取り組んでいる。これは、当初に想定していた以上のスピードであり、生産再開・回復を下支えしている。また、震災でサプライチェーンの断絶が最も深刻化した自動車業界も、4月から5月をボトムに生産が回復基調をたどるとみられる。生産拠点の稼働率上昇が鮮明化するころには、日本株は上昇相場の色彩を強めているだろう。物色面では、相対的に「外需株優位・内需株劣位」の2極化相場だと予想している。

 

東京外国為替市場ではFX投資家が円を売っており、円高を下支える要因となっている。しかし今回のFXのレバレッジ規制によりFXの効果が薄れるかもしれない。

決済シーズン後は上値が重そう

米国主要企業の1〜3月期決算はS&P500採用銘柄の8割以上が1株利益で予想を上回っており、非常に好調だ。個人退職年金が節税目的で投資信託を経由して株式相場に流入する時期でもあり、株価押し上げ要因となっている。

 

だが、投資家の関心は再び米国財政と金融政策の行方に移り、高値警戒感が広がることになりそうだ。米国には国債デフォルトなど信用(クレジットリスク)が介在しているため、をしたほうがいいであろう。昨秋の追加量的金融緩和(QE2)実施以降に発行された米国債の7割相当は、実質的にFRB (米連邦準備制度理事会)が買い入れている。 QE2終了後、民間部門で十分に吸収できるかどうかが懸念され、れている。大手金融機関や債券ファンドなどの多くが米国債に慎重な見通しを示していることを考えると、金利上昇圧力が高まることは避けられないだろう。

 

また、スタンダード&ファースが米国の信用格付けの見通しを「ネガティブ」へと引き下げた。米議会では財政健全化案の議論の最中であり政治的な思惑も見え隠れするが、株式相場は一時急落した。QE2後のFRBの次の一手を見極めたいとの思惑から、決算発表シーズン終了後は上値の重い展開になりそうだ。

 

FX

米国ではフィラデルフィア連銀の景気指数が大幅に悪化したほか、新規失業保険申請件数が事前予想上回るなど、景気減速懸念が強まっている。また、モルガン・スタンレーは2011年と2012年の世界経済の成長率見通しを下方修正している。昨日18日の日本市場は自動車、ハイテク、機械といった景気敏感株の下げが目立っていた。欧州財政問題や米国の景気懸念を織り込む格好ではあったが、一段安が警戒されるところである。為替相場では、対ユーロ、ドルで円が買われている。FX投資家にとって苦しい相場展開が続いている。